アゴハゼの飼育方法~餌・混泳の注意点

アゴハゼは潮溜まりでもごく普通に見られるお馴染みのハゼの仲間です。南国からやってくる綺麗なチョウチョウウオやヤッコの仲間を採集しているアクアリストでも、一度は本種を掬ったことがあるでしょう。様々な場所に分布しており、磯で本種を採集することにより、マリンアクアリウムの世界へと入っていく人もいるのです。今回はアゴハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 アゴハゼ
学名 Chaenogobius annularis (Gill, 1859)
英名 Forktongue goby
分類 条鰭綱・スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ゴビオネルス亜科・アゴハゼ属
全長 7.5cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 15~25℃(対応水温は幅広い)
水槽 45cm~
混泳 ハゼを食べる魚、口に入る魚は食べるおそれあり
サンゴとの飼育 多くのサンゴと組み合わせられる

アゴハゼってどんなハゼ?

▲三浦半島の潮溜まりで撮影したアゴハゼ

アゴハゼはハゼ科ゴビオネルス亜科アゴハゼ属のハゼの仲間です。浅い潮溜まりでほぼ周年、ごく普通に見ることができるハゼで、分布域も日本の幅広い範囲におよびます。ただし、琉球列島など分布していない地域があります。そのようなところではクモハゼなどがそのニッチに入り込みます。

東アジア固有種で、日本国内では北海道小樽~九州、南は種子島・屋久島にまで分布しており、この地域で磯採集をする人はほとんど誰もが一度は採集したことがある、といえるかもしれません。

近縁種ドロメ

▲アゴハゼとドロメの見分け方

アゴハゼによく似たものに、ドロメというハゼがいます。両種は非常に似通っていますが、尾鰭や胸鰭の模様の違いにより見分けることができます。このほか、第2背鰭の軟条数(アゴハゼは1棘10軟条、ドロメは1棘11軟条)などでも区別することができます。また、アゴハゼよりもドロメは内湾を好む印象があり(同所で見られることもある)、ドロメのほうが大きくなるようです(ドロメは15cmを超えることも)。分布域は北海道~九州で、国外では朝鮮半島、済州島、山東省にすみます。

アゴハゼ属はこのドロメと、アゴハゼの2種のみからなります。ほかにも何種類かのハゼがこの属に入れられていたことがありますが、現在はほとんどがウキゴリ属などの別属に入れられています。これはChaenogobiusという属の学名はウキゴリ属に充てられていたものの、その属のタイプ種がアゴハゼであることが判明したためです。

アゴハゼに適した飼育環境

アゴハゼは海水魚飼育初心者に最適といえる魚ですが、飼育する前に水槽や機材などはあらかじめ揃えておきたいものです。まずは海水魚飼育への心がけ必要な機材をご覧ください。

水槽

▲小型水槽で飼育しているアゴハゼ

アゴハゼは基本的な45cm水槽でも飼育できます。アゴハゼだけを飼育するのであれば、さらに小さな一般的なお店で販売されているキンギョ用の飼育セットを使用しても飼育できますが、底砂は大磯砂やソイルではなく、海水魚を飼育するためのサンゴ砂に変更する必要があります。ろ材も同様に海水魚用のものを使用します。小型の外掛けフィルターに粗めのサンゴ砂を加えますが、モーター部に詰まらないように注意します。

できれば初心者は60cm水槽で飼育したほうがよいでしょう。水槽のサイズが大きいと水量が増え、水質が安定しやすくなるためです。しかし大きすぎる水槽は初心者には扱いにくいこともありますので、60cm水槽で飼育するのがちょうどよいでしょう。

水質とろ過システム

ほかの魚と比べると劣悪な環境にも耐えられますが、できるだけきれいな水で飼育することを心がけましょう。キンギョを飼育するために使う投げ込み式ろ過槽はカンタンに設置できますが、あまり海水魚向けではありません。できれば外掛けろ過槽、もしくは外部ろ過槽を使用したいところで、外掛けろ過槽の低いパワーを補うために、プロテインスキマーが付属した海道河童などを使用するのもよいでしょう。もちろんより大型の水槽で上部ろ過槽を使用すれば飼育はずっと楽になります。

水温

温帯域を好む魚で、熱帯域には見られませんが、熱帯性海水魚を飼育するような25℃前後の水温でも飼育できます。水温の変動が激しい潮溜まりにいるということもあり、水温の変動にはある程度順応できるようですが、急な水温の変動はよくありません。ヒーターとクーラーを使用し、水温を一定に保ちましょう。

アゴハゼに適した餌

▲配合飼料を与えるようにしたい

アゴハゼは動物食性が強く、自然下では甲殻類や魚の幼魚を捕食しています。実際に飼育していると、配合飼料にもすぐに慣れてくれます。ホワイトシュリンプやコペポーダを与えるのもよいのですが、このような餌を与えすぎると水質悪化につながることもあるため注意が必要です。

アゴハゼをお迎えする

基本的に観賞魚店ではほとんど扱っていませんので、採集するしかありません。本州~九州の磯では周年見ることができます。ごく浅い潮溜まりでもたくさん見ることができるので、子連れ採集もよいでしょう。ただし、獲りすぎと安全には十分に気を付けるようにしましょう。欲張って獲りすぎても死なせてしまうのがオチというものです。また、潮溜まりには毒を持つ生物と遭遇する可能性もあるので気をつけます。

ほかの生物との相性

ほかの魚との混泳

▲カサゴの仲間は動物食性が強い。混泳してはいけない

アゴハゼは先ほど述べたように動物食性で、小型甲殻類、小型の軟体動物、ゴカイ類、そのほか口に入る魚も捕食してしまいます。口に入らないサイズの魚であれば混泳はできますが、それでも極小サイズのイソハゼの仲間やベニハゼの仲間などは避けた方がよいでしょう。逆にアゴハゼを捕食してしまうような大型魚、たとえばハタの仲間、モンガラの仲間、カサゴやカエルアンコウなど肉食性が強い魚との混泳もできません。またスズメダイの仲間のうち、大きいものはかなり気が強く、メギス(ニセスズメ)の仲間は似たシルエットの魚には好戦的になりますので、こういうのも避けましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲サンゴ水槽での飼育も可能

アゴハゼはサンゴには無害なため、サンゴ水槽で飼育することもできますが、あまり似合いません。イソギンチャクの仲間はハゼなど底の方にいることが多い魚を捕食してしまうこともあるので一緒にしてはいけません。ただし小型のディスクコーラルやマメスナギンチャクの類とは一緒に飼育できます。

一方、エビ、カニなどの甲殻類との飼育は難しいところがあります。アゴハゼの口に入るサイズであれば捕食して食べてしまいますし、逆にエビ・カニの方が大きければアゴハゼを食べてしまうことがあります。クリーナーシュリンプは概ね問題ないのですがカクレエビの仲間は食べてしまいますし、オトヒメエビは大きなハサミでハゼなどを襲って食べてしまいますので、これらも一緒に飼育することはできません。

アゴハゼ飼育まとめ

  • 沖縄を除く日本各地の磯に見られる普通種
  • 潮溜まりに生息し極めて丈夫で飼育しやすい
  • 極めて丈夫で小型水槽での飼育も可能
  • 初心者はできれば60cm水槽が欲しい
  • 60cm水槽と上部ろ過槽の組み合わせがベスト
  • 外掛けろ過槽や外部ろ過槽でも飼育できる
  • 25℃くらいでも飼育できるが安定していることが重要
  • 配合飼料もすぐに食べてくれる
  • 肉食魚やスズメダイ、メギスの類との混泳は危険
  • あまり似合わないがサンゴ水槽でも飼育できる
  • 小型の甲殻類は食べてしまうことがある
  • 逆に大型の甲殻類に捕食されるおそれも

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